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【題名】
保険について
【ご質問内容】
夫が亡くなりました。その間保険の保証人だった叔母は面会もさせてくれませんで
した。その上夫の死亡保険、入院給付金、積み立て金はすべて叔母さんに渡りまし
た。その保険は夫の口座から全て引かれています。せめて入院給付金や積み立て金は
返してほしいと請求できないのですか、相続は義兄かいてほとんど義兄にいきまし
た。私は入院代や葬儀代、49日代、雑費と自分のお金で払ってきたのに一度も叔母は
きません。その上に家からもだされました。
【ニックネーム】
くーちゃん
【回答】
1.相続関係の整理
今回のケースでは、被相続人は相談者の夫ですが、「相続は・・・ほとんど義兄にいきました」という記載があります。
そのため、相続人は配偶者である相談者とご兄弟(相談者からみて義兄)の二人という前提で回答させていただきます。
遺言書が作成されていない場合、法定相続分は
・相談者が4分の3
・被相続人の兄弟が4分の1
となります。
2.叔母への返還請求の可否
叔母が各種保険金等をすべて受け取っているとのことですが、その保険金等が相続財産にあたるかどうかで返還請求できるかどうかが異なります。
①死亡保険金について
死亡保険で受取人が指定されていた場合、その保険金は相続財産にはなりませんので、その点を検討します。
今回のケースでは、夫の口座から保険料が引き落とされていたということから、夫が契約者であり、被保険者であったと考えられます。
また、叔母が死亡保険金を全て受け取っているという事実からすると、叔母が指定受取人と考えられます。
そのため、保険金は叔母の固有財産となり、相続財産ではないことから、相続人には何らの権利もなく、叔母へ返還請求することはできません。
なお、もし、指定受取人が定められていなかったという場合は、保険約款等の内容次第で相続財産になる可能性もありますので、保険金の受取人が誰であったのかを保険会社に確認するといいでしょう。
②入院給付金と積立金について
入院給付金や積立金は通常、相続財産にあたると考えられます。
今回のケースで、叔母がどのように上記給付金や積立金を受け取ったのかは不明ですが、仮に相続財産であるにもかかわらず、叔母が受領したという場合、相談者としては、法定相続分である4分の3について、自分に相続された権利であるとして返還請求するといいでしょう。
3.義兄への請求の可否
質問には「相続はほとんど義兄にいきました」と記載されています。
遺言書で「義兄に遺産全部を相続させる」との記載があり、そのために義兄に財産が行った場合には、遺留分侵害額請求ができ、相続財産の4分の1が返還される可能性があります。
この請求する権利は短期で消滅します(遺留分侵害を知って1年以内)ので、早期に弁護士に相談され、対応策を講じるといいでしょう。
なお、遺言書がない場合、相続財産は相談者と義兄が相続しますので、二人で遺産分割協議をする必要があります。
もし遺産分割協議をしていないにもかかわらず、義兄が預貯金等の相続財産を取得している場合は、義兄に対して相続分に応じた返還請求を行なう必要がありますので、この場合も弁護士に相談されるといいでしょう。
4.ご自宅から退去させられた件について
相談者が住んでいたご自宅から出されてしまったとのことですが、まずはご自宅の名義が誰であるのか確認する必要があります。
具体的には、法務局へ行き、ご自宅不動産の登記簿謄本を申請して確認をするとよいでしょう。(登記簿謄本には、ご自宅の名義が誰であるのか記載されています。)
仮に、夫名義ということであれば、自宅不動産は相続財産にあたります。
この場合、遺言書が作成されていなければ、ご自宅について遺産分割協議をする必要があります。
遺産分割協議をせずに、他の相続人(あるいは相続人ではない者)が遺産不動産に居住し続けているという場合、相談者としては自己の法定相続分に応じた賃料請求をするということも考えられます。
5.相談者が入院代や葬儀代、雑費等を負担していることについて
相談者が亡くなった夫の入院代、葬儀代、雑費等を負担しているとのことですが、それらについて何か請求することができるか問題となります。
まず、入院代や生前に発生した夫の費用については、本来であれば夫本人が負担すべきものです。
しかし、相談者が自分自身の預貯金等から支払ったということであれば、他の相続人(義兄)に対して、その相続分に応じた金額を請求し、清算をすることも考えられます。
また、葬儀代については、喪主負担とする見解もありますが、相談者としては、相続人全員が相続分で負担すべきであるとして請求することも考えられます。
その場合、今回、義兄に対しては、義兄の法定相続分4分の1を負担するよう請求することになります。
6.最後に
相談者としては、
・保険の受取人の確認
・不動産の名義の確認
が必要です。
これらの手続や具体的に請求が可能かどうかについては、資料を持参の上、できるだけ早く弁護士に相談され、対応策を検討されるといいでしょう。
(弁護士 山本 こずえ)



