【質問の要旨】
法的手続きなく(父の同意は口頭ではとった)父の所有物件を姉名義に変えた。
父自身の署名はなかったため、今後の不動産売却の際に姉が刑罰を受ける可能性がないか心配。
【ご質問内容】
次女です。
父が脳梗塞になりリハビリ入院中から認知症になりつつあります。
父が所有していた土地などを母同意の元、姉名義に変えて(生前贈与)新たに姉名義の家を建てる計画が進んでいます。
母が一人で暮らせないため新居には母と姉が暮らす予定です。
名義を変えた手続きに関しては司法書士を挟まず母と姉自身で登記をしたそうです。
但し、書類に関しては父が署名をしておらずいわゆる私文書偽造になると思います。
意思に関しては 話がきちんとできる時に確認をしたそうです。
遠方に住んでいる私は権利の主張はないので姉名義になった事に文句はないのですが、私文書偽造がバレてしまった場合に母や姉が処罰をされないか心配をしています。
法律を犯してはいるのは承知していますが、名義を姉にした土地を売却し、新たに家を建てる事は問題になりますか?
※敬称略とさせていただきます。
実例Q&Aは、相続問題に限定、特化したブログであり、この趣旨を徹底するため、相続案件以外の質問をいただいた場合は、回答を控えさせていただいております。
ご質問は《認知症の父の署名押印を得ることなく生前贈与契約及びそれに伴う登記手続をした場合の問題点に関するご質問にとどまっており、相続分野の法律問題を含んでいない》ものと理解しました。
ただ、せっかくの質問ですので、弁護士の簡単なコメントを以下に記載させていただきます。
《弁護士コメント》
今回の事案は、
① 父から姉への生前贈与契約を締結し、
② 父名義の登記関係必要書類(但し、父は関与しないで作成された)を提出した
ものと思われ、有印私文書偽造罪(刑法第159条1項)、公正証書原本不実記載罪(同第157条)に該当します。
ただ、被害者の父や関係者(法定相続人など)が問題にしない限り、警察が特に調べに乗り出すようなことは、通常は考えられず、偽造に関与した者が処罰されることは考えにくいです。
また、父が姉への名義変更に同意していたというのであれば、署名捺印について、父が同意していたと推定される可能性も高く、この点からも刑事裁判で処罰される可能性は少ないでしょう。