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実例Q&A

未知の異母兄弟が相続人である場合の遺産分割【Q&A778】

2022年9月13日

【質問の要旨】

・異母兄弟間での相続が発生

・今回初めて異母兄弟の存在を知った

・4名中3名は他界している、うち2名は代襲相続

・住所は戸籍附票で確認済

 

・異母兄弟に法定相続人であることを知らせる方法はあるか

 

 

 

【回答の要旨】

・法定相続人は、相談者と、Aを代襲したEと、Bを代襲したFと、Dの4人

・戸籍や戸籍附票を取り寄せ、異母兄弟Dと、異母兄弟の子E、Fの住所も把握できているのであれば、手紙で知らせるという方法が考えられる

おせわになります 異母兄弟間で相続が発生しております

異母兄側 4名の内3名 他界 2名 子供があり代襲相続があります

全く接触が無く、今回初めて存在を知りました 法定相続人である事を知らせる方法はありますか 住所は戸籍 付箋で確認済み

【ニックネーム】

maa

 

【回答】

1 前提として

被相続人は相談者の父であり、被相続人には生存する配偶者がなく、相続人には父母を同じくする兄弟がなく、異母兄弟4人(A、B、C、Dとする)のうち3人(A、B、Cとする)は死亡しており、その3人のうち2人(A、Bとする)にはそれぞれ子が1人ずつ(Aの子はE、Bの子はFとする)いるものと仮定します。

 

2 法定相続人は相談者とE、F、Dの4人であること

被相続人の子は相続人となります。被相続人の子が相続開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となります。

本件では、被相続人の子は、相談者とA、B、C、Dの5人ですが、相続開始当時、A、B、Cは死亡していました。そのうち、Aには子Eが、Bには子Fがおり、Cには子がいません。

そうすると、法定相続人は、相談者と、Aを代襲したEと、Bを代襲したFと、Dの4人ということになります。

 

3 異母兄弟への連絡方法

異母兄弟との接触は全くなかったとのことですが、相談者が戸籍や戸籍附票を取り寄せ、異母兄弟Dと、異母兄弟の子E、Fの住所も把握できているとのことでしたら、D、E、Fに対し、被相続人である相談者の父が亡くなったことや、彼らが法定相続人であること、遺産分割について相続人全員で協議したいことを手紙で知らせるという方法が考えられます。

後述する通り、今後、遺産分割調停が必要になる可能性があります。

遺産分割調停をすることができるのは、共同相続人間に協議が整わないとき、又は協議をすることができないときとされています(民法907条2項)。

そこで、単に協議をしようとしていないのではなく、協議ができない状態であることを疎明できるようにするため、どのような内容の文書をいつ送付したかの証拠を残しておくことが考えられます。

手紙がD、E、Fの手に渡ったことを証明する手段としては、郵便局の配達証明郵便を利用するという方法があります。

もう少し安価な方法としては、手紙がD、E、Fの自宅の郵便受けに投函されたことだけを証明する特定記録郵便を利用するという方法もあります。

文書の内容を証明する手段としては、内容証明郵便を利用する方法があります。

 

4 今後の流れ

被相続人が債務超過(プラスの財産よりマイナスの財産が多い状態)でない場合は、相続放棄を考える必要はありません。

その場合、相談者の父の遺産を法定相続人4人で分割することになりますので、4人全員で誰がどの財産を取得するかを協議することになります。

協議がまとまらない場合や、そもそも連絡をとっても協議に応じてくれない相続人がいる場合には、遺産分割調停を申し立てる必要があります。

(弁護士 武田和也)

 

 

 

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