【質問の要旨】
【質問の要旨】
・株式会社の役員だった配偶者が2年入院して死亡した
・会社の持ち株を配偶者と兄で50%ずつ保有していた
・いつの間にか配偶者の株が兄の子供名義になっていた
・どうすれば勝手に変えたことを証明できるか
【回答の要旨】
・ 会社に対して、被相続人である夫の株式がどうなったかを質問するといい
・ 役員であったからといっても、必ずしも株主であったとは限らないので、夫が株主であった証拠を探すことが必要
・ 被相続人の取引していた証券会社がわかれば、そこに取引履歴の照会をかけるのが一番
主人が2年半前から病気で入院して今年亡くなりました。
株式会社で主人と兄が50%ずつの株を持っていましたがいつの間にか主人の株が兄の子供の名義に変わってました。
主人や私には会社の税理士からの連絡は一切なかったです。
どうすれば勝手に株を変えた事を証明出来ますか?
会社の税理士と兄が協議して役員の変更とかを変えたようです。
宜しくお願い致します。
【ニックネーム】
果物マサ
【回答】
【株主には帳簿閲覧権がありますが・・】
まず、会社に対して、被相続人である夫の株式がどうなったかを質問するといいでしょう。
ただ、勝手に変えているような場合にはちゃんとして回答が返ってくるか疑問です。
回答がない場合は、今回の質問のような(おそらく小規模な会社)では法律上は次のような方法が考えられます。
このような会社は株式の譲渡が制限されている場合が多いです。
その場合には、株式譲渡する場合、株主総会又は取締役会決議が必要です。
株主なら法律で議事録の閲覧を求めることができます。
そのため、この権利を行使して、総会議事録または取締役会議事録を見ればよいということが、法律的には言えます。
ただ、会社としてはあなたの夫が株主であることを否定し、株主でない者に閲覧を認めないという対応をする可能性があります。
【株主であった証拠を探すことが必要です】
以上のような点を考えると、まず、夫が株主であったことが主張できる証拠を探す必要がありそうです。
(なお、役員であったからといっても、必ずしも株主であったとは限りません。)
証拠になるものとしては、法人税の申告書(株主構成が記載されています)、定款の写し(小規模会社で役員になっているのなら、会社の定款に株主構成が記載されている可能性があります)、などが考えられます。
夫の残した書類の中に、このような夫が株式を保有していたことを裏付けるものはないですか?
もしあれば、その証拠がどれほど役立つものであるのか、また、法的な方法としてどのようなものがあるのかを弁護士に相談されるといいでしょう。
そのような証拠がない場合に、いかなる方法があるかも、併せて弁護士に相談されるといいでしょう。
【上場会社の場合の株式の調べ方】
今回の問題とは直接関係ありませんが、上場会社の株式の調査について簡単に補足しておきます。
被相続人の取引していた証券会社がわかれば、そこに取引履歴の照会をかけるのが一番手っ取り早いです。
なお、どこの株式を有していたかがわからない場合には、金融機関の取引履歴で配当の記載がある会社を確認することを考えてもよいでしょう。
その後にその会社の株式の移動を(証券保管振替機構)に確認すれば、何株をいつまで保有していたかが判明します。
(弁護士 大澤龍司)