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実例Q&A

父が亡くなる直前に婚姻をしていた【Q&A927】

2025年11月21日

【題名】

 婚姻、遺産、相続問題

【ご質問内容】

 父が30年くらい入籍せずに女性と同居していて、女性は前旦那の遺族年金を受給。

 8月のお盆明けから腰が痛いと言っていてその後歩けない、移動は痛い痛いとはって移動。

 10月7日から腰椎圧迫骨折で入院病院から20日に重篤の連絡女性は金曜日から三重県へ、父21日に死亡。

 女性が20日に入籍。死亡してから籍が入ってる事を知る。婚姻無効になる可能性はありますか?

【ニックネーム】

 しの

 

【回答】

1 婚姻が無効になるケース

 被相続人である父の死亡直前に婚姻届がだされ、戸籍に婚姻が記載された場合であっても、婚姻届け作成時に父に意思能力がなかった場合にはその婚姻届けは無効です。

また、父の署名が偽造であった場合にはその婚姻は無効です。

なお、証人署名部分が偽造であるだけでは婚姻は無効にはなりません。

2 意思能力で無効になる場合の問題点

 父の意思能力がどの程度だったかは長谷川式認知症スケールやMMSE等の認知機能検査の結果で判断できます。

これ等のテストは30点満点ですが、20点以下は認知症、10点以下は重篤な認知症ということになります。

ただ、結婚の意味を認識できるような状態であれば、重篤であっても婚姻の意思があったと認められる場合があることも考えられます。

なお、認知症テストがない場合には、病院のカルテや看護記録、介護認定記録などで認知症の程度を判断することになります。

3.婚姻届けはかなり以前に作成されていたが、提出が死亡直前だった場合

  本件では婚姻届が出される前、30年間も事実上の婚姻状態だったようです。

(おそらく、妻は前夫が死亡し、その遺族年金を受給していたことからすると、婚姻するとその支給が停止されることから、婚姻届を出さなかったのでしょう)

このような場合には、事実上の夫婦関係が長年にわたり続いていたことを 重視し、夫が過去に作成した婚姻届けを無効にするような意思を夫が表示していたという特段の事情がない限りは、婚姻届けを提出する意思は継続していたと判断される可能性が高いでしょう。

4.争う方法は婚姻無効訴訟で

 もし、婚姻無効だと争うのであれば、家庭裁判所に婚姻無効確認の訴えを提出することになります。

この場合には前記のような認知症テストやカルテ等で夫に意思能力がなかったことやそもそも夫の署名が偽造だったこと筆跡鑑定で明らかにするなど、婚姻の効力を否定する側が証明する必要があります。

(弁護士 大澤龍司)

 

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