【質問の要旨】
①父が孤独死をして、特殊清掃が必要な状況
②父とは長年連絡をとっておらず、DNA鑑定の結果がでるまで、父であるかはわからない
③相続放棄をする予定だが、特殊清掃の実費の返還はあるのか。
④特殊清掃の費用を支払ったら相続放棄ができなくなるのか。
⑤相続放棄をする旨伝えていたら、特殊清掃は不要になるのか。
【弁護士の回答のまとめ】
1.死亡した人が父であるかの確定を待つ
相談者は亡くなった方と長年連絡を取っておらず、本当に父かどうかまだ分かりません。特殊清掃をする前に、DNA鑑定の結果を待ちましょう。
2.相続放棄をすれば特殊清掃の費用は原則不要
相続放棄をすれば、最初から相続人ではなかったことになります。
したがって、孤独死に伴う損害があっても、相続放棄をすれば父の債務の履行責任は問われず、特殊清掃の費用を払う必要はありません。
3.下の階の住人への配慮
父の部屋からの被害について、相談者が相続放棄をする可能性があり、その場合には責任を負わないことを文書などでお伝えするといいでしょう。
4.法律(民法)の改正により管理義務もなし
インターネットでは「相続放棄しても管理義務がある」との情報も見られますが、現在は法律が改正されています。
今は「亡くなった方の財産を実際に占有している場合」に限って管理義務が残ります。
今回のように父と別居していた場合は、管理義務もなく、特殊清掃の責任も負いません。
5.清掃費用を払ったあとに相続放棄しても返金されない。
相談者が清掃費用を払った後に相続放棄しても、支払ったお金は返金されません。
あなたが業者との間でした契約に基づく費用なので、相続とは関係なく発生します。
6.自分で清掃費用を支払っても、相続放棄はできる。
相談者が自分の金で支払った場合でも、相続放棄は可能です。
ただし、放棄するならそもそも費用を支払う必要はありません。
7.他の相続人(姉)の対応について
相談者以外に、相談者の姉も法定相続人になります。
2人とも相続放棄をすれば、次に父の妹(相談者にとって叔母)が相続人になります。
相続放棄の流れとしては、まず相談者と姉が家庭裁判所で放棄の手続きをすることになります。