【質問の要旨】
・被相続人:叔母
・相続人:相談者、妹、甥、姪(計8人)
・遺言書あり(相談者が全財産を相続する内容)
・遺言執行者:相談者
・相続財産を他の相続人に知られたくない。
【題名】
公正証書の相続人への通知について
【ご質問内容】
私が全ての財産を相続する旨及び私が遺言執行者に設定されている公正証書を作成していた叔母が先日亡くなりました。相続人は私の他に7名【妹1名他6名は甥と姪なので遺留分はありません】調べてみると通知の際公正証書の写しを同封して相続人に郵送が基本とのことですが、他の相続人に叔母の財産目録は知られたくないのと、今は近くの公証役場で閲覧等は出来るようなので、その旨を通知の際通知文の中に入れれば、写しを同封しなくて済むのではないかと考えております。また通知の方法ですが記録郵便【レターパックや特定記録郵便】で到着確認さえできれば通知完了とみなされるのでしょうか?
内容証明も考えていますが、故意に先方が受けとらない場合困ると考えていますので配達の完了が確認出来る郵送方法が良いとかんがえています。
【ニックネーム】
ほたかまん
【回答】
1 遺言の内容の通知義務がある
遺言執行者には、遺言の内容を相続人に通知すべき義務があります。
(末尾にこの点についての民法の条文を記載していますので、ご参照ください)
そのため、遺言公正証書の写しを相続人に送付しなければなりません。
なお、公証役場にて遺言公正証書の閲覧等ができるという説明だけでは、制度の案内をしたにすぎず、遺言の内容を通知したことにはなりません。
2 相続財産目録の作成・交付義務もある
遺言執行者には、相続財産目録を作成し、相続人に交付すべき義務もあります。
ここでいう「相続人」には、遺留分のない相続人も含まれます。
したがって、他の相続人に叔母の財産目録を知られないようにすることはできません。
(末尾に、この点についての民法の条文を記載していますので、ご参照ください)
3 通知の方法
通知の方法としては、配達証明付き内容証明郵便にする必要はなく、レターパックや特定記録郵便で足りるでしょう。
郵便受けに投函されたことが確認できれば、通知が相続人に届いたものと考えられます。
4 遺言内容の通知や相続財産目録の交付はすべき
遺言内容の通知や、相続財産目録の交付をしなかったときは、遺言執行者として不適任だとして、解任を求められる可能性があります。
また、相続人から遺言の内容を知らせなかった、あるいは財産目録を交付しなかったことにより損害を受けたとして賠償請求をされるリスクもあります。
そのため、遺言内容の通知や相続財産目録の交付は、きちんとしておきましょう。
<参照条文>
民法1007条
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
(弁護士 武田和也)