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実例Q&A

遺産分割協議成立後に新たに預貯金の使い込みが発覚した場合【Q&A821】

2023年6月15日

【質問の要旨】

・相続人:4人(相談者、兄、姉、妹)

・遺産分割協議書を作成し、相談者が土地建物を取得。

・遺産分割協議後に預金(姉が管理していた)から2000万円ほどの使途不明金が判明。

 →遺産分割協議後に判明した使途不明金の返還請求ができるか。その場合、遺産分割協議

 をやり直す必要があるか。

 →遺産分割協議をやり直す場合、取得した土地建物の考慮が必要か。

 

 

【回答】

1 使途不明金は遺産だが、遺産分割協議の対象ではない

  母の生前に、母の面倒をみていた姉は、母の預貯金口座の通帳、キャッシュカード等を預かっていたようですが、母が施設に入居した時期より2000万円ほど使途不明金があるとのことです。

  姉が母から頼まれた範囲を超えて出金し私的に流用していた場合、母は姉に対して、頼んだ範囲を超える出金については返還するよう求める権利を有していたことになり、この返還請求権は遺産になります。

  しかし、この返還請求権は、遺産分割協議の対象にはなりません。

  遺産分割協議を待つまでもなく、相続開始と同時に、法定相続分に応じて当然に分割されて、各相続人に帰属することになるからです。

  具体的には、仮に本件事案で母が姉に対して2000万円の返還請求権を有していたとすると、相続開始と同時に当然に4分割されて、各相続人に相続されるため、相談者は、姉に対して、500万円の返還請求権を有していることになります。

2 今後の対応

  遺産分割協議とは、遺産のうち、分割協議を必要とする遺産について、誰がどの遺産を取得するのかについて協議するものです。

  従来の遺産分割協議は有効であり、やり直す必要はありません。

  そして、遺産分割協議によって取得した財産とは別に、相談者は姉に対して、返還請求をするとよいでしょう。

  このとき、遺産分割協議によって、相談者がどのような財産を取得したかは問題とはなりません(土地建物を取得したことを考慮に入れる必要はありません)。

  遺産分割協議の内容にかかわらず、母が姉に対して有していた返還請求権は、法定相続分に従って分割され、各相続人に帰属しているためです。

 

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