【質問の要旨】
【題名】
ゆうちょ銀行保管義務
【ご質問内容】
ゆうちょう定期書証、相続人に、はいらず。母の定期書証、10年しか、ださないで、定期書証が消えた。10年前の履歴を、出す方法知りたいのですが?
【ニックネーム】
りり
【回答】
1.今回のご相談の内容
今回のご相談では、被相続人母について相続が発生し、相談者が10年以上前の母の定額貯金証書(相談者は定期書証と記載しておりますが、定額貯金証書のことかと思われます)あるいは取引履歴の開示を金融機関に求めたところ、「10年以上前なので開示できない」と回答されたというものと思われます。
2.ゆうちょ銀行は定額貯金の履歴を出さない
今回のご相談はゆうちょ銀行に関するものです。
これまでの当事務所の経験では、ゆうちょ銀行は定額貯金の履歴を出すことはありませんでした。
日々の金銭の動きのない定期預金では、通常貯金のような履歴自体がないので出せないというのが、ゆうちょ銀行の説明です。
そのため、特定の日付を指定し、その各時点での現存照会(残高照会)をすることにより定額貯金の動きを知るといいでしょう。
3.10年以上前の履歴を開示させることは困難
金融機関は通常10年以上前の履歴については、履歴を照会しても回答をしてくれません。
法律上、金融機関に不法行為があった場合、(改正前の民法では)行為時から最長20年まで請求される可能性がありますので、20年ぐらいは資料を保管していることは間違いありません。
どうしても開示をさせたいのであれば履歴の開示を求める訴訟をするしかありません。
ただ、資料を持っていれば、必ず開示義務があるとは言えないため、勝訴の可能性はかならずしも高いとは言えないでしょう。
もし、どうしても開示を求めたいのであれば、10年以上も前の履歴を取らなければならない具体的な理由、例えば、その当時、多額で不審な金銭の動きがあるという具体的事実を述べて金融機関に開示の申し出をするといいかもしれません。
なお、その場合でも照会に応じるか否かは、開示義務のない限りは、金融機関の自由な判断によるということになります。
(弁護士 山本こずえ)