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【題名】
父親の死亡保険金について
【ご質問内容】
私は現在50歳です。
5歳の時に父親が事故で他界し生命保険金が一億ほどありました。母親が半分で残りの何千万かが私の名義の口座に入っていましたが、死んだ父親の兄がその通帳を持っていて、私の名前で銀行にお金を預けてあるが本人が行かないと降ろせないと言って私を連れて銀行に行き全額引き出して持って行きました。後で聞いた話しではそのお金は死んだ父親が残してくれた私のお金と知り取り返したいのですがもう無理でしょうか?
【ニックネーム】
かぁちん
【回答】
1.叔父の行為は「不法行為」にあたる可能性があります
生命保険金については、契約で指定された受取人の財産になります。
今回のケースでは、相談者の父が加入していた生命保険金約1億円のうち、何千万円かが相談者名義の口座に振り込まれたようですので、相談者が受取人に指定されていたものと思われ、その保険金は相談者の財産になります。
叔父が相談者を連れて銀行へ行き、保険金相当額を引出した行為が、もし相談者の意思に反した行為だとすると、民法上は不法行為にあたる可能性があります。
2.消滅時効が成立している可能性が高い
不法行為により損害を受けたのですから、相談者は加害者である叔父に対して、損害賠償請求ができます。
しかし、いつまでも請求できるというわけではありません。
民法という法律で、不法行為の場合に請求できる期間(消滅時効期間)が定められています。
・まず、被害者が「誰に」「どのような被害を受けたか」を知って3年を経過すると請求はできません。
・たとえ知らない場合でも、不法行為が発生した時点から20年が経過している場合、損害賠償請求ができなくなります。
今回のケースでは叔父がいつ、保険金を出したのかは質問からははっきりとはしませんが、仮にその引き出し時点から20年以上が経過していると、叔父に対して損害賠償請求はできないことになります。
3.証拠集めも厳しい
今回のケースで不法行為で損害賠償請求するには、叔父が相談者の預金から何千万円という多額の金銭を引出したことを証明する必要があります。
ただ、その引出行為が20年以上も前であれば、金融機関にその出金の履歴が残っていない可能性が高いです。
また、その引出の際に作成された払戻伝票は金融機関に保存されますが、20年以上も前であるとそれが保存されていない可能性があります。
さらに、20年以上前の出来事について、証言をしてくれる人を見つけることも、なかなかハードルが高いです。
これらの点を考えると、消滅時効だけではなく、叔父の着服行為の前提となる金銭の引出行為等についても立証することも難しいという結論になります。
(弁護士 山本 こずえ)



