毎月の送金が特別受益にあたるのか?
(東京家審平成21年1月30日)
【ケース】
平成4年から平成6年の間、被相続人から相続人の一人に対して一月に2万円から25万円の送金がなされていた事例で、相続人の一人への特別受益にあたるかが問題になった。
【裁判所の判断】
裁判所は、以下のような内容の判断をしました。
遺産総額や被相続人の収入状況からすると、一月に10万円を超える送金は生計資本としての贈与であると認められるが、これに満たないその余の送金は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計資本としての贈与とは認められないと思慮する。
一月に10万円未満の送金については、親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計資本としての贈与とは直ちに認められないと思慮するが、その余の送金はいずれも一月に10万円以上の送金がなされており、返済されたと認められる証拠がないことからすると、これらの一月に10万円を超える送金は生計資本としての贈与であり、いずれも特別受益と認められる。
【弁護士のコメント】
裁判所は、この事案については、月に10万円程度なら扶養義務の範囲での援助といえるが、それ以上の送金については、扶養義務の範囲を超えた「生計の基礎として役立つような財産上の給付」であると言えるので、特別受益になると判断したということです。
月に何万円程度が扶養義務の範囲といえるかどうかは、遺産総額や被相続人の収入状況によって変わりますので、月に10万円というのは固定額ではないことに注意が必要です。