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実例Q&A

かなり時間がたっていますが、祖父の遺産の取り戻しができますか?【Q&A №719】

2021年3月8日

【質問の要旨】

・1996年に死亡した祖父の財産は遺言により全て後妻へ渡った

・後妻から祖父の孫4人へ祖父の遺産として10万円ずつ渡された

・後妻が5年前に亡くなった際の相続はなし

・後妻の姪に渡されていたと思われる祖父の財産を取り戻すことは可能か?

 

 

 

【回答の要旨】

・遺言書で遺産をもらえないときには、急いで遺留分減殺請求をする

・遺留分減殺の請求期間は遺留分侵害を知って1年間なので、早急に手配が必要

・本件では、遺留分の侵害されたことを知ったのは孫が10万円をもらった時点

・祖父の生前に、後妻の姪がもらった祖父の財産も返還請求はむずかしい

・先妻の子(孫)は、養子になっていない限り、後妻の死亡時にその遺産をもらえない

・本件では、祖父が死亡して遺言書が発見されたときが勝負の時であり、その時に弁護士に相談すべきだった

【ご質問内容】

祖父は1996年に死亡。

遺言により全財産は後妻へ。

後妻には娘同然に可愛がっていた姪がおり、従来から祖父の財産、恐らくかなりの額を姪に与えていた。

祖父には実の孫が4人おり、後妻から孫に遺産として渡されたのはそれぞれ十万円のみ。

後妻も五年以上前に亡くなり、その際の相続は全くなし。

後妻側の親戚に税理士がおり正式な祖父の子や孫に相続しないよう手を打っていたとの情報あり。

恐らく姪に流れたであろう財産を取り戻すことは可能でしょうか?

 (今更ですが許せなくてつい)


 ※敬称略とさせていただきます。

 

【回答】

(2020年7月から相続法改正がされましたが、本件では祖父が1996年に死亡していますので、改正前の旧相続法が適用されます。

以下は旧法が適用されることを前提で回答しています。)

【遺言書で遺産をもらえないときには、急いで遺留分減殺請求をする】

遺言書で遺産をもらえないことが分かったときの調査及び対抗策は次の3点です。

  • まず、遺言書の形式は民法で定められている要式を備えているかを検討する。
  • 次に、遺言書を作成したとき、遺言書の判断能力は十分であったかを検討する。
  • 最後は遺留分減殺請求をすることです。

本件では特に上記①及び②については言及されていませんので、おそらく公正証書遺言だったのでしょう。

従って、祖父の孫の対抗策としては遺留分減殺請求を早急にするということになります。

【遺留分減殺の請求期間は遺留分侵害を知って1年間なので、早急に手配が必要】

祖父が死亡した時に遺言書があり、後妻に全部遺贈するという内容であれば、祖父の遺産はすべて後妻が取得します。

本件では、祖父に孫が4人ことしか言及されていません。

そのため、祖父が死んだときに子は全て先に死亡されていたのでしょう。

このような場合、その孫らが代襲相続人になり、遺留分減殺請求ができます。

この請求は《相続人が遺言書などでは財産をもらえないときでも、法定相続分の半分まではもらえるようにしよう》という制度であり、遺産全部をもらう後妻に減殺(返還して欲しい)という意思を通知することで、本来の法定相続分の半分の限度で取り戻しが可能になる制度です。

ただ、この遺留分請求は《遺留分が侵害されたことを知って》1年以内に行使する必要があります。

《遺留分が侵害されたことを知った日》とは、遺言書を見て、自分には全く遺産が来ないということを知ったような日と言っていいでしょう。

そのため、その日から1年内に請求しなかった場合には、その後には減殺請求はできず、後妻が遺産全部を取得することになります。

【本件では、遺留分の侵害されたことを知ったのは孫が10万円をもらった時点】

ところで、後妻は孫4人に10万円を与えたということですので、その段階で後妻は孫に《遺言書で私が全部遺産をもらうようになっている。ただ、気の毒だからせめてあなたたちには10万円づつ、私から渡しておきます》程度の話はあっただろうと推測されます。

そのため、10万円をもらった日が、孫が遺留分侵害を知った日と推測していいでしょう。

10万円をもらった時期がいつかは明記されていませんが、後妻が5年前に死亡したというのですから、どう考えても、期限の1年はとっくに過ぎていることになります。

そのため、孫はいずれも遺留分減殺請求ができないということになります。

【祖父の生前に、後妻の姪がもらった送付の財産も返還請求はむずかしい】

なお、祖父の生前に後妻の姪がその財産をもらったということですが、もしそれが後妻が勝手にしたことなら、祖父は後妻に不法行為による損害賠償をすることができます。

しかし、祖父が死亡した後は、この権利も遺言書で後妻に全て相続されますので、遺留分減殺をしていないことから、現時点では請求ができません。

なお、仮に祖父が自らの意思で後妻の姪に財産を渡していた場合、その姪がもらった分について、遺留分減殺請求という可能性があります。

しかし、これについても、そのような事実があったことを知ってから、既に1年以上経過していると思われることから、遺留分請求の期間を経過しており、現時点では請求ができないという結論になります。

 

【先妻の子(孫)は、養子になっていない限り、後妻の死亡時にその遺産をもらえない】

次に後妻が死亡したときに財産がもらえないかという点ですが、祖父の子が後妻との間で養子縁組をしていれば、後妻の遺産をもらうことができます。

ただ、通常の場合には後妻が先妻の子らを養子にすることは少なく、本件もその前提だと思われます。

養子にはなっていないという前提が正しいのであれば、後妻とも孫との間に子や孫の関係はなく、他人になりますので、後妻の法定相続人ではありません。

そのため、後妻の遺産を、祖父の孫4人がもらうということはできないという結論になります。

【本件では、祖父が死亡して遺言書が発見されたときが勝負の時であり、その時に弁護士に相談すべきだった】

おそらく、本件は祖父が死亡した段階で、その時点で弁護士に相談をして、早急に代襲相続人の孫として遺留分減殺請求をするべき案件でした。

残念ですが、現段階では後妻の子である姪から財産を取り戻すことはむずかしいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

 

 

 

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