事務所での
法律相談

閉じる

Q&A検索

閉じる

メール
無料相談

閉じる

実例Q&A

財産の使い込みや生前贈与の対策について【Q&A773】

2022年8月8日

【質問の要旨】

・家族構成は父、母、相談者、妹

・相談者と両親の折り合いが悪く、ほぼ絶縁状態だったが、少しずつ交流をするようになっている

・妹と両親の関係は良好。現在は東京に住んでいるが、2年後に実家の近くに戻ってくる

・今後親の介護や面倒を見るのは妹になると思うが、その際親の貯金やお金を

 私的流用したり、生前贈与したりするのではないかと不安なので

 親の財産を今の段階で調査できるか

・親が公正証書を作った場合相談者は知るすべはあるか

 

 

 

【回答の要旨】

生前の対策としてできることは限られている

・遺産調査、公正証書遺言の検索も、両親が健在の間は極めて難しいというのが現状

・両親が生きている間は、なるべく孫の顔を見せにいく等して、関係をなるべく改善するというのが一番の相続対策と思われる

姉妹差別により相続に不利にならないよう今何をすべきですか。

 

父59才、会社員、年収700万

母59才、パート

私(長女)32才、主婦

妹(次女)30才、会社員

 

両親は愛知県在住、妹も愛知県在住ですが夫の都合で今月から2年間東京で生活します。

私は夫の都合で5年前から福岡県在住です。

 

私は中学生の頃から親とよく衝突しており高校卒業と同時に家出同然に無理矢理家を出ました。

その後も私の結婚、出産やお金絡みで散々揉めたあげくにほぼ絶縁状態。その数年後私は両親にあゆみより、悪かったと思うことは謝り、少しずつ交流もするようになりました。

妹は結婚するまで実家暮らし。結婚してからも両親の近くに住み、一緒に出かけたり泊まったり頻繁に交流し関係は良好のようです。妹に子供はいません。

今回、妹は期限付きで東京に引っ越しましたが、その際母親は泣いたそうです。

私が福岡県に引っ越す際には涙を見せるどころか、はい、さようなら。という感じでしたが。

 

そりゃそうでしょうと思うと同時に、この親は絶対に姉妹差別を相続に持ち込むと確信しました。

母親は感情で動く人間です。なぜ数年で帰ってくるのに泣くのでしょうか。私は子供3人、あの親の孫を連れて期限無しで県外に引っ越したのです。私が憎くても孫はかわいいでしょうに。私のせいで孫までも軽く扱われ、今このどうしようもない気持ちのやり場に困り眠れずにインターネットで調べましたがやはり専門家に相談するのがいいと思いメールさせてもらいました。

 

まとめますと私が知りたいことは

①物理的に今後親の介護や面倒をみるのは妹になるのでしょうが、その際親の預貯金や金銭管理状況が見えないので、生前贈与や妹が私的流用するのではと不安

②親がどのくらいの財産をもっているのかどうか、今の段階で調査する事はできますか。

③もし親が公正証書を作った場合、私に知る術はありますか。

 

お忙しいとは思いますが、回答よろしくお願いします。

【ニックネーム】

K

 

【回答】

第1 生前の対策としてできることは限られている

1 妹への生前贈与や私的流用について

今回のケースでは、相談者が両親と離れてくらしており、親子関係もあまり良くありません。

その一方で、妹は両親の側に暮らし、仲が良く、今後も両親の面倒をみていくという状況です。

このようなケースでは、相談者の指摘されたように、妹が両親から生前贈与を受けたり、妹が金銭管理を任せられるようになり、両親の生活に必要な金額以上を出金してしまったりするということがあります。

相談者としては、このような妹の行動、あるいは両親の生前贈与等を事前に止めたいということですが、少なくとも両親がご健在の間は極めて難しいというのが現状です。

なぜならば、両親が自分の財産を自分の意思で処分することは自由だからです。

もっとも、結果的に、それが財産の前渡しということになり、相談者の遺留分が侵害されているというのであれば、後述のように、両親の相続が実際に発生した際に、遺留分侵害額請求などを検討することになります。

2 財産調査について

相続が発生した後であれば、相続人という立場があるため、預金の取引履歴を取り寄せたり、不動産については市町村に固定資産税課税台帳(いわゆる“名寄帳”)を取り寄せたり、登記事項証明書を取り寄せて、共同担保目録から他の不動産を見つけるなどの調査をすることができます。

しかし、ご両親が生きている間は、銀行に預金の取引履歴を照会したとしても、「個人情報なので教えられません」と回答されてしまいます。

そのため、現時点で取ることのできる手段としては、両親との関係を生きている間になるべく修復し、財産を聞き出すということになります。

ご両親の財産調査についても、両親が生きている間は、両親から直接聞く以外に財産調査をする方法はほとんどありません。

3 公正証書について

公正証書の場合、公証役場で「遺言検索システム」を利用して、公正証書遺言の有無を調べることが考えられます。

ただし、この検索システムの利用についても、ご本人が生きている場合は、検索できるのは本人のみということになります。

一方、亡くなった後であれば、相続人であれば検索することができます。

なお、遺言については、後から書かれた遺言の方が先に書かれた遺言よりも優先されますので、相談者がなるべく自分に有利な遺言を両親に書いてもらえるのであれば、それに越したことはありません。

そのため、両親が生きている間は、なるべく孫の顔を見せにいく等して、やはり両親との関係をなるべく改善するというのが一番の相続対策と思われます。

 

第2 相続発生後の手段について

両親の相続が発生した場合、遺言の内容や生前贈与、妹の生前出金等によって相談者の遺留分が侵害されていないか検討する必要があります。

たとえば、父の相続については、母が健在であれば、相談者の遺留分は4分の1ということになります。

また、遺留分侵害額請求は、相続の開始、遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年以内にしなければなりません。

そのため、相談者としては、なるべく弁護士に相談し、遺言の内容や財産調査をした上で、遺留分侵害額請求をするかどうか検討するとよいでしょう。

(弁護士 山本こずえ)

 

 

 

「遺言書」に関するオススメQ&A

「使途不明金」に関するオススメQ&A