これまで、自筆証書遺言や公正証書遺言など、遺言の方式について説明してきましたが、今回は、遺言の内容に関するものです。
遺言に書いてはダメな事項はありませんので、何を書いても構いません。
ただし、書いたこと全てが法律的に意味があるか(効力があるのか)といえば、そうではありませんので、この点について説明したいと思います。
【遺言で出来ること】
遺言で出来ることといえば、まず、相続に関することを定めることが出来ます。
例えば、長男は4分の3、次男は4分の1というように、法定相続分と異なる相続分を定めたり、長男は不動産、次男は預金というように、具体的な遺産分割の方法を定めることが出来ます。
次に、財産の処分に関することです。
例えば、不動産を相続人ではないAさんに与える(遺贈といいます)ことが出来ます。
また、身分に関することも出来ます。
例えば、婚姻関係にない人との間にできた子供を自分の子であることを認めたり(認知といいます)、未成年の子供の後見人を定めることが出来ます。
さらに、自分が残した遺言どおりに、相続を進めてもらうために、信頼できる人を遺言執行者に指定しておくことが出来ます。
【遺言で出来ないこと】
遺言で出来ないこととは、遺言に書いてはダメだという意味ではなく、書いても効力がないということです。
まずは、当事者双方の合意が必要な契約は、遺言では出来ません。
例えば、不動産をBさんに500万円で売ると書いても、効力はありません。
もちろん、Bさんはこれに従う必要もありません。
また、身分に関することでも、離婚や養子縁組など当事者双方の合意が必要なことは、遺言で定めることは出来ません。
以上のとおり、遺言で実現できることには限界があります。
しかし、遺言は亡くなった人の最後の望みですから、家族の方々はその意思を尊重してくれると思いますので、法的な効力はともかく、希望は全て書いたほうがいいのではないでしょうか。