遺産をもらえない人の対抗策・・遺留分
【遺留分とは遺産の一部を受け取ることを保障する制度です】
遺留分とは、遺言書で財産を全くもらえない場合や、遺言書でもらえる遺産が少ない場合に、一定の相続人に遺産の一部を受け取ることを保障する制度です。
例えば、お父さんの遺言書があり、その遺言書に、「全ての財産を妻に相続させる」と記載されていた場合、長男と長女は、遺産を全く受け取ることができないように思われます。
しかし、長男も長女も、同じお父さんの法定相続人ですので、長男や長女にもある程度の財産を受け取ることができます。これが遺留分という制度です。
【遺留分を認められる相続人の範囲と割合】
遺産の一部を受け取ることが保障されているのは、被相続人の配偶者や子供、被相続人の父母等の直系尊属のみです。したがって、被相続人の兄弟は法定相続人ではありますが、慰留分は認められていません。
また、遺留分の割合は、相続人が誰かによっても異なります。
冒頭の例をあげると、長女の遺留分については、
遺産÷2(相続分は2分の1)÷2(子供が2人)÷2(遺留分割合2分の1)となり、
結局8分の1が遺留分となります。
長男も同様に8分の1が遺留分となります。
別の例として、被相続人に父母はいるが、配偶者も子供もいないケースでの父、又は母の遺留分は、
遺産÷3(相続分は3分の1)÷2(父母が2人)÷3(遺留分割合3分の1)となり、
18分の1が遺留分となります。
【遺留分の請求時期・方法】
慰留分は、当然にもらえるものではなく、遺留分を害されたこと(要するに遺言書により財産が全く、或いは、少ししかもらえない)を知った時点から1年以内に、慰留分を害する者に対して(冒頭の例であれば、お母さんに対して)、請求しなければなりません。これを、遺留分減殺請求といいます。
遺留分を害されたことを知ってから、1年以上何もしなかった場合には、遺留分減殺請求は認められません。
遺留分減殺請求は、裁判によらないですることができますが、請求したことを証明できるようにしておく必要があるので、内容証明郵便のような書類で送付されることをお勧めします。