【質問の要旨】
・弟が亡くなり、弟名義の家が残された。
・弟に配偶者・子はいない。家族で現在生存しているのは相談者と妹のみ。妹は相続を拒否。
・すでに亡くなっている兄の配偶者・子に家の相続権はあるのか。
【回答の要旨】
・亡くなった兄の子どもには相続権がある
・遺産の弟の家を相続するには、相続人全員で遺産分割協議をする必要がある
・代償金の支払いが必要になることもある
【題名】
不動産の相続権
【ご質問内容】
不動産の相続について教えていただきたくメッセージを送らせていただきました。
弟が亡くなり、弟名義の家が遺っています。
弟には配偶者・子供はおらず、両親もすでに他界しているので相続権は他界した弟の兄弟(私と私の妹)にあると考えております。
妹は相続はしたくないと言っているので、私が家を相続したいと思っています。
教えていただきたいのですが、20年ほど前に亡くなった兄の配偶者・子にもこの家の相続権はあるのでしょうか。
無料相談ではございますが、教えていただければ大変助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
(西)
※敬称略とさせていただきます。
【回答】
1. 亡くなった兄の子どもには相続する権利がある
今回ご相談のケースでは、相談者の亡くなった弟(以下、「被相続人」といいます。)には配偶者や子どもがおらず、両親も既に他界しています。そのため、相続人は被相続人の兄弟姉妹になります。
ただ、相談者の兄が被相続人が死亡するよりも前に亡くなっていますので、その兄は相続人にはなれませんが、その兄の子が相続人になることができます(これを代襲相続といいます。)なお、この代襲相続ができるのは亡くなった人の子だけであり、配偶者は代襲相続をできませんのでご注意ください。
そのため、今回の相続人及び相続分は次のとおりとなります。
・相談者(相続分3分の1)
・妹(相続分3分の1)
・兄の子(代襲相続:子が複数いても全体として相続分3分の1)
2. 遺産の弟の家を相続するには、相続人全員で遺産分割協議をする必要がある
今回のケースでは遺言書が作成されていないようです。
このような場合、弟名義の家を相続したいのなら、前記相続人全員で遺産分割協議をし、相談者が弟の家を相続するという合意をする必要があります。
なお、相談者の妹が相続をしたくないということを言っておられるようですが、弟の相続には一切、関係したくないという趣旨なら、家庭裁判所で相続放棄の手続をする必要があります。
相続放棄をした場合には、妹は最初から相続人ではなかったことになるため、妹の遺産分割協議への参加は不要です。
(なお、相続放棄の申立ては、相続開始を知って3ケ月以内にする必要がありますので、早急に裁判所に申し立て書類を出す必要があります。「3箇月」という制限期間がありますのでご注意ください)。
3.代償金の支払いが必要になることもある
遺産分割協議の中で、相談者に弟の家を相続させるということがスムーズに合意できればいいですが、同意しない人がいる場合も考えられます。
その場合、なぜ同意をしないのかをお聞きになり、場合によれば、金銭を渡して解決するということも考えられてもいいでしょう(この時に支払う金銭を代償金と言います)。
(弁護士 山本こずえ)