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実例Q&A

脳梗塞の父が亡くなる直前に婚姻や贈与をしている【Q&A832】

2023年9月13日

【質問の要旨】

・被相続人:父(R4.11.30死亡)

・相続人:妻、実子4人(うち1人が相談者)、養子2人

・相談者の父母は離婚している(父は再婚)

・現在の妻が、司法書士に遺産分割を依頼し、相談者に通知文が届いた

(中身は、通帳・不動産・戸籍のコピー)

・父が死亡する2ヶ月前に現在の妻に不動産を一部贈与し、婚姻をしている

・父は、R3.10.22に重度の脳梗塞で入院しており、婚姻が自分の意思か不明

<相談者の意向>

・父の婚姻、贈与が高齢者を騙した詐欺事件なら解明したい

・遺産相続に関係がある資産を調査したい

・弁護士に依頼した場合の費用を知りたい

 

 

【回答】

1 刑事事件に該当するかどうかの調査

  婚姻届や不動産贈与証書のコピーが入手できるのであれば、それらに記載された被相続人の筆跡が本人のものであるかを調査すべきです。

  もし、明らかに被相続人の筆跡とは異なる場合は、私文書偽造や公正証書不実記載という罪に該当する可能性があります。

  又、全体として詐欺罪等、もっと重大な犯罪に該当する可能性もあります。

  そのため警察に相談されるとよいでしょう。

2 遺産の範囲

(1)遺産に含まれる財産は何か

   被相続人が死亡時に保有していた不動産や預貯金や株式は遺産に含まれます。

   この他、令和4年9月に、被相続人から妻に対してなされた贈与が無効なら、その不動産も遺産に含まれます。

   この他、もし生前に妻が被相続人に無断で引き出した預貯金等があればそれも遺産になります。

(2)婚前贈与不動産が遺産に含まれるケースについて

   贈与証書や婚姻届の筆跡が被相続人の筆跡である場合であっても、不動産の婚前贈与や婚姻をした当時、被相続人が贈与や婚姻という行為の意味が分からない状態であった場合(この状態を《意思無能力》といいます)、婚前贈与や婚姻は無効になります。

   その場合、婚前贈与不動産は被相続人の遺産に含まれることになりますし、妻も、本当は妻ではなく、相続人ではないということになります。

3 意思能力の有無の調査方法

  意思能力の有無に関する資料として、認知機能検査(長谷川式認知症スケールやMMSE等)の結果や、診断書、カルテ、リハビリ病院の介護記録、介護認定資料等により判断ができますので、これらを収集されるとよいでしょう。

4 弁護士費用

  弁護士には事件を依頼するときの着手金と事件終了時の報酬の支払が必要ですが、これらの計算方法は事務所により異なります。

  又、請求し、かつ取得した金額によっても異なってきます。

  標準的なところでは次のような計算方法をする事務所が多いでしょう。

   請求し、取得する金額が300万円から3000万円の範囲の場合

   ・着手金 《請求金額》×5 %+9万円

   ・報酬金 《取得額》×10 %+18万円

   たとえば、1000万円の金銭を相手方から取得した場合、

    着手金・・・59万円

    報酬・・・・118万円

   となります。

  ただし、当初に支払う着手金を軽減する事務所もありますし、

  上記と異なる報酬基準を採用している事務所もあります。

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