【ご質問内容】
御世話になります。
義父(昭和61年死亡)
主人(平成10年死亡)
義母(平成23年死亡)
主人の兄2人姉1人は健在
主人が亡くなった後、主人の母、兄姉とは疎遠になりました。
(私が子連れ再婚だった為、最初から気にいらない様でした)
先日、
主人の姪(姉の子)から手紙が届き、相続登記をしたいので遺産分割協議書に署名、実印を押して印鑑証明を同封して返送して欲しいと連絡がありました。
(兄姉も高齢で姪が代理で連絡したとの事)
主人の実家は宇部あり、令和3年に宇部市役所より倒壊のおそれがあると連絡を受けています。姪の話では不便な場所で売れる見込みも無いと不動産屋さんに言われたそうです。
義母が亡くなった事も知らせて貰えず、自分達の都合で連絡してきた事に少し腹立たしいです。
安易に署名、印鑑を押し、印鑑証明書を送っても良いのでしょうか?
私の子供2人は既に相続放棄、養子縁組解消しています。(令和3年)
宜しく御願い致します。
申し訳ありません。
書き忘れたのですが、古い倒壊の家の事だけを姪から知らされたのですが、
義母が亡くなった時の遺産とかは主人の子供(実子)に相続権利は無いのでしょうか?
縁が切れている様な親族ですがその辺が気になります。
お金云々では無く負だけを知らせて来たとなれば、それも腹が立ちます。
【ニックネーム】
悩み多き嫁
【回答】
1 実子には相続権がある。
質問文には、「私が子連れ再婚だった」、「私の子供2人」、「主人の子供(実子)」とありますが、誰と誰との間の子どもが何人いるのかが分かりません。
そのため、相談者と前夫との間の子が2人、相談者と亡主人との間の子が1人であるものとして、以下回答します。
また、問題となっているのは、義母の相続に関する遺産分割協議書であり、義母の相続に関して、相談者と前夫との間の子2人は令和3年に相続放棄しており、相談者と亡主人との間の子1人は相続放棄をしていないことを前提にします。
これを前提とすると、義母の相続について相談者の夫は法定相続人になります。
ただ、夫がその母(義母)より先になくなっていますので、実子は代襲で相続人になります。
相続人は義兄2人、義姉、実子の計4名ですので、相続分は各4分の1です。
2 遺産分割協議書に調印するときはここに注意する。
遺産分割協議に調印する前に、次のような作業をする必要があります。
①金融資産の確認
遺産分割は遺産という、通常は多額の財産を法定相続人で分割するものです。
そのため、分割に際しては、遺産がどれだけあったのかを確認しておく必要があります。
そのため、義母が亡くなったときにどれだけの財産を有していたのかについての資料、例えば金融機関の残高証明などの資料を入手する必要があります。
②不動産の価額の確認
又、通常、遺産の中には所有不動産がありますので、その価額がどの程度あるかも確認されるといいでしょう。
③生前の出金等の確認
なお、生前に被相続人の預貯金から多額の金銭が出金されていることも多いので、この点の金融機関に履歴照会をする必要があります。
3 遺産分割協議書が送付されてきたときの対応
遺産分割をするかどうかは、あくまで相談者が独自に判断することです。
その際、次の点を考えておくといいでしょう。
①遺産分割協議をする場合には、まず、遺産全部が記載されているかを確認しましょう。
②次に、多少の配分額の違いは我慢するとしても、相談者に対して法定相続分どおりの配分がなされているかどうか計算する必要もあります。
③さらに、生前に出金された分も遺産の分配の際に考慮されているかも検討するといいでしょう。
生前にされた出金分や贈与などがある場合には、その出金者や贈与を受けた人の取り分が少なくなっているかどうかも検討が必要です。
以上を検討した上で、問題がないようであれば、遺産分割協議書に署名捺印をしてもいいでしょう。
ただ、弁護士の感覚で言えば、突然、遺産分割協議書を送ってきたような場合には、調印はするのは危険だということになります。
遺産分割協議は重要な財産分けですので、迷われたら遺産に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
(弁護士 武田和也)