【質問の要旨】
・父が他界後、遺産分割協議書により相談者が建物を相続し相続登記をした。
・来年、建物を撤去するが、建物内に残っている兄弟の私物をどうしたらよいか。
【ご質問内容】
父他界により、財産に関し相続人で協議の結果私一人が相続する事になり遺産分割協議書を作成し相続登記を済ませました。
ところが兄弟が私の相続した建物に私物を入れたまま退去する意思が有りません、兄弟は他の町にアパートを借りて住んでます。
都合で来年建物を撤去する必要があり困ってます。是非アドバイスお願い致します。
【ニックネーム】
セキ
【回答】
1 相談者が勝手に兄弟の私物を処分することはできません
建物の中に残置されている私物は兄弟が所有しているものです。
したがって、相談者がこれを勝手に処分すれば「自分のものを勝手に廃棄された」と兄弟から損害賠償請求されるリスクがあります。
そのため、勝手に処分することはできるだけ避け、廃棄等の同意を取る方策を考えた方がいいでしょう。
又、仮に同意がとれない場合に、できるだけリスクを少なくして私物を廃棄する方法がないかを検討する必要があります。
2.兄弟に撤去の申し出をする。
相談者としては、《自分の相続した建物を売却するので、私物を撤去してほしい》というお願いの内容の連絡を兄弟にして、同意を取り付けることが考えられます。
この通知は送付したことがわかる形(内容証明郵便や配達証明を利用されるといいでしょう)にして万一の場合の証拠として残しておくといいでしょう。
もし、相手方が同意してくれるなら、次のような書面に署名押印をもらうとよいでしょう。
もし、前記のようなお願いでは同意をしてもらえないのなら、《私物を撤去しなければ法的手段を取る》と警告文を送付することも考えられます。
この場合も送付したことがわかるように内容証明郵便等の方法で送付するといいでしょう。
3.同意がない場合には、できるだけリスクを少なくする。
撤去を求める書面を出しても同意がなく、それでも建物を売却しなければならない場合にはどうするかが問題になります。
兄弟の私物を保管替え(例えば倉庫などで保管する)したうえで、1~2年ほど、様子を見るという方法があります。
それでも何も言ってこない場合には、荷物を廃棄することになります。
取りに来る意思がないと判断して、廃棄するということです。
なお、どうしてもリスクを避けたいというのなら、弁護士に依頼して、裁判をして撤去を実現するしかないことになります。
(弁護士 岡本英樹)