【質問の要旨】
【題名】
相続トラブル
【ご質問内容】
相続人は2人です。
法定相続人間で遺産総額も提示されず、同意も無しで遺産を分けようとしてくる事に私は納得出来ずにいます。
総額や使い込み金額を知りたいと申し出る権利はありますか?
【ニックネーム】
ランラン
【回答】
【遺産内容の開示義務はなく、自分で調査しなければならない】
相続人は、他の相続人に遺産を開示する義務はありません。
また、遺産の内容・使い込みの有無等の開示請求をする権利もありません。
もちろん、相手方に申し出ること自体は可能ですが、これに応じない場合には相談者自身が遺産状況を自ら調査するしかありません。
被相続人が使用していた金融機関がわかれば、入出金状況(取引履歴といいます)の照会は一人ですることができ、他の相続人の同意は不要です。
なお、具体的な調査方法については、Q&A No.098(預金取引履歴を調べる方法)・No.158(預金調査での注意点)をご参照ください。
また、遺産調査を弁護士に依頼するという選択肢もありますが、弁護士が調査だけを受任することはあまりありません。
調査の方法や手続きは容易にはできないことも多いため、調停等、今後の対応についての相談も併せて弁護士への依頼を検討しても良いと思われます。
遺産調査の弁護士への費用についてはQ&A No.729・No.385をご参照ください。
【遺産分割協議について】
遺産分割協議の成立には、相続人全員の署名・押印が必要です。署名・押印をするか否かは各相続人が自由に決定できるため、相談者が遺産内容の把握ができない状態で遺産を分けることに同意できない場合には、協議に応じる必要はありません。
【不正出金などを防止する】
遺産分割協議が成立しない間に、遺産の預金口座からカードなどで不正に出金されることがあります。
このようなことを防止するために、わかっている金融機関については被相続人が死亡したことを通知する必要があります(金融機関により異なるが、電話ででもよいところも多い)。
この連絡を受けると、金融機関は口座を凍結し、原則、出金ができなくなり、預金の減額を防止できます。
【遺産分割調停の申立てを考える】
遺産分割協議での解決が難しいと判断される場合には、家庭裁判所での遺産分割調停の申立を考えるといいでしょう。
遺産状態がわからなくても、調停申立ては可能です。
なお、調停であっても相手方は遺産状況を開示する義務はありません。
しかし、相手方が財産を把握している場合には、調停委員が財産を開示するように相手方を説得してくれる場合が多いです(もちろん、調停委員によりますが)。
なお、双方の意見が合致せず、調停が成立しない場合には、裁判官が遺産分割の審判(判決のようなもの)をしますが、この場合にも遺産内容が確認できることが前提になります。
(養父緒里咲)