【質問の要旨】
【質問の要旨】
・遺留分侵害請求の方法、内容に関して
【回答の要旨】
・遺留分を侵害している(と主張されている)人から調停を申し立てることもできる
・遺留分侵害額についての遅延損害金は、請求を受けた日の翌日から発生する
・調停や訴訟上の和解で解決される場合には、遅延損害金は支払わずに済む内容で合意に至ることが通常
請求にあたり不動産評価額が相手方と折り合わない場合の、調停や裁判は請求側でもされる側のどちらが申し立てをしてもおかしくはないですか?
また遅延損害金については請求した日からと文では書いてますが、請求した日とは遺留分侵害額請求を内容証明郵便で送付した日からでしょうか?
金額の合意をもって支払いが決まった日からでしょうか?
【ニックネーム】
のむさん
【回答】
相談者は、共同相続人から遺留分侵害額を請求されているにもかかわらず、その相手方からなかなか調停申立てがなされないため、遅延損害金がどんどん膨らんでいるのではないかと懸念しているものとお察しします。
以下では、そのような事情であることを前提に回答します。
1 遺留分侵害額についての調停の申立権者について
遺留分侵害額についての共同相続人間での争いは、原則として、いきなり裁判をすることはできず、まずは調停で解決を目指すことになります。
遺留分侵害額の調停の申し立ては、遺留分を侵害された人からなされるのが通常ですが、遺留分を侵害している(と主張されている)人から調停を申し立てることもできます。
2 遅延損害金の起算日について
遺留分侵害額についての遅延損害金は、請求を受けた日の翌日から発生します。
ですので、遺留分侵害額請求を内容証明郵便で「送付した日」から発生するのではなく、その文書が、遺留分を侵害した人に届いた日の翌日から発生することになります。
3 遅延損害金についての対処法
⑴ 調停が不調になり、訴訟が提起され、判決になれば、遅延損害金(=遺留分侵害額×年3%の割合)についても判断されます。
⑵ 調停や訴訟上の和解で解決される場合には、遅延損害金は支払わずに済む内容で合意に至ることが通常です。
その場合は、和解金の支払日とされた日までの遅延損害金については免除する旨を、和解条項に明記しておくとよいでしょう。
⑶ ⑴の場合の遅延損害金が不安になるようでしたら、他にも対処方法はありますが、遺留分の計算は複雑になることもあるため、一度弁護士に相談されることをおすすめします。
(弁護士 武田和也)